【心電図の読み方】2度房室ブロックのモービッツとウェンケバッハの違い

心電図
ぴぃすけ
ぴぃすけ

こんにちは!
臨床検査技師のぴぃすけだよ。

今回は房室ブロックの中の2度房室ブロックについて解説をしていくよ。

2度房室ブロックは2つの種類があるよね。

それをしっかり見分けることが、とても重要になってきます。

というのも、片方は危険度は低いけど、もう片方は危険度が高いんだ。

同じ2度房室ブロックだけど、危険度は全く違う。

だから今回は、

  • 2つの2度房室ブロックの違い
  • 危険なのはどっちの房室ブロック
  • 理由は●●ブロックになるから

なんて内容を解説していくね。

2つの2度房室ブロックの違い

最初は2つの違いから解説していくよ。

ちなみに2つの房室ブロックの名前はわかる?

  • Wenckebach型:ウェンケバッハ型
  • MobitzⅡ型:モービッツⅡ型

の2つになるね。

2つの名前がわかったところで、この2つの房室ブロックの違いを詳しく解説していくよ!

ウェンケバッハ型

まずはウェンケバッハ型からだね。

モービッツってⅡ型ってなってたんだけど、なんでⅡ型だと思う?

実はこの型はモービッツⅠ型とも言ったりするんだ。

だからどちらも覚えておいてね。

今回はウェンケバッハ型で統一して話していくね。

このウェンケバッハ型の波形は、こんな感じなるよ。

ぴぃすけ
ぴぃすけ

正常波形との違いは分かるかな?

一番分かりやすいのは、途中でQRS波が一拍ないってことだね。

後は房室ブロックというくらいだから、PQ間隔が長くなっているね。

だけどよーく見てみると、も少し違う部分があるんだ。

それがここだよ。

それがここですね。

もうちょっと具体的に言うと…

PQ間隔が徐々に延長していって、QRS波がなくなる。

これがウェンケバッハ型の特徴になるよ。

●ウェンケバッハ型の波形

  • PQ間隔が徐々に延長していく
  • PQが伸びたところでQRSが脱落する
ぴぃすけ
ぴぃすけ

このPQ間隔が徐々に延長するというのが重要だよ。

モービッツⅡ型

そうしたら次はモービッツⅡ型について、話をしていくね。

こっちもまずは波形を見ていくよ。

こっちもウェンケバッハと同じように途中でQRS波が一拍脱落しているね。

だけどここで確認して欲しいのが、PQ間隔なんだ。

さっきは徐々に伸びていたけど、今度は変わらないよね。

だからウェンケバッハとモービッツの違いはQRS波が脱落するまでに、

ということなんだ。

●モービッツⅡ型の波形

  • PQ間隔は一定
  • QRSが急に脱落する

2度房室ブロックで危険なのはどっち?

ここまでで2度房室ブロックの波形の違いは解説は終わりだよ。

でも心電図は読むことが目的じゃないよね。

読んだ上で、それがどんなものかを知ることがすごく重要だね。

というので、質問だよ。

ぴぃすけ
ぴぃすけ

2度房室ブロックは、どっちが危険だと思う?

「急にQRSがなくなるから、なんとなく危険そう」

こんな感じで、モービッツⅡ型の方が危険そうな感じがするよね。

これ確かにそうなんだ。

でも重要なのは理由だね。

その危険な理由をを解説していくよ。

まずQRSってなんなのかという部分のおさらいなんだけど、QRS波って何を表している?

正確には興奮になるんだけど、

という感じで考えてもらえれば大丈夫だよ。

ちなみに2度の房室ブロックの違いは

ウェンケバッハ:徐々にPQが長くなってQRSが脱落

モービッツⅡ型:急にQRSが脱落

ということだったよね。

ウェンケバッハのイメージ

徐々に長くなって脱落するというのは、こんな感じだね。

「心室君って遅れてくるんだよなー」

「ごめんねー、遅刻しちゃった。」

「遅いよー!この前は10分だったけど今回は30分だよ!」

「次はちゃんと来るから!ごめんね。」

次の遊びの日・・・

「遅いなー…まさか。」スマホぱかっ
(心房君ごめんね。今日はいけないや)

「・・・怒」

プルルルル

「もしもし…」

「次遅れたら怒るからね!!!!」
ガチャ!

また次の遊びの日

「2分遅れているけど…」

「ごめん!ちょっと遅れちゃった!」

「まぁ反省しているみたいだから、このくらいならいいか」

という感じの繰り返しがウェンケバッハなんだ。

ただ1回こなかったら心室君は反省するから、ちょっと遅れるくらいになる。

だから「しょうがないなー」って感じで、お互いまだ仲良く遊んでいるってこと。

モービッツⅡ型のイメージ

でも急ってことは…

「今日は来るのかな…。」

プルルルル…

「今日いけない!」

ガチャ!

「あいつはなんなんだ!!!
最近3回に1回はこないじゃないか!
もう知らん!!!」

という感じです。

すごく仲が悪くなってしまいますね。

ウェンケバッハは反省があるのですが、徐々に忘れてたまーにこなくなる。

だけどモービッツ型は反省しないので、そのうち頻繁にこなくなります。

この頻繁に来なくなるというのが、実は危険になる理由なんですね。

それで、この3回に1回こない状態になると、こんなものになってきます。

高度房室ブロックについて

それが高度房室ブロックという状態になるよ。

2度の房室ブロックには

  • 心房の刺激の回数(P波)
  • 心室の興奮の回数(QRS波)

この比率がいくつになっているかっていうことが重要なんだ。

ちなみにこれを

と言われるよ。

房室伝導比が3:1以下(P波3回でQRS波1回)の状態を高度房室ブロックと言うんだ。

高度房室ブロック

房室伝導費が3:1以下

こうなってくると、全身に血液を巡らせることが難しくなってくる。

そうなると一番血液を使う脳に血液が足りなくなるよね。

だから『脳虚血』になる可能性が高くなるんだ。

こうやって高度房室ブロックに移行する可能性がある。

だからモービッツ型の方が危険度が、はるかに高いと言われているんだよ。


ちなみにウェンケバッハ型は正常な人にも見られる心電図の異常なんだ。

だけど高度房室ブロックには、ほとんど移行しないよ。

だから同じ2度の房室ブロックでも危険性が全く違うということだね。

まとめ

今回は2度房室ブロックの話をしてきたよ。

今回の話をまとめておくね。

・2度房室ブロックにはウェンケバッハ型とモービッツⅡ型の2つの種類がある

・ウェンケバッハ型はPQ間隔が徐々に延長してからQRSが脱落する

・モービッツⅡ型はPQ間隔は一定で急にQRSが脱落する

・危険度が高いのはモービッツⅡ型

・理由は高度房室ブロックに移行してしまう可能性があるから

・高度房室ブロックとは房室伝導比が3:1以下の2度房室ブロックのことをいう

こういった内容だったね。

2度房室ブロックと言っても

  • ウェンケバッハ
  • モービッツⅡ型

このどちらかで対応がかなり変わってくるんだ。

しっかり今回のことを覚えて、心電図を判断していってね。


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