
こんにちは!
臨床検査技師のぴぃすけだよ。
今回は血液検査のBNPとNT-proBNPについて解説していくね。
心臓の検査をしたことがある人なら、検査結果でこの名前を見たことがあるかもしれないね。
どちらも心不全を調べるときによく使われる検査なんだけど、名前は似ているけど数値が違うから「何が違うの?」と思う人も多いと思うんだ。
BNPやNT-proBNPはどちらも心不全を見ているけど、高かったからといって、それだけで心不全と決まるわけでもないよ。
今回はそんなBNPとNT-proBNPがどんな物質なのか、2つの違い、数値の見方、高くなる原因まで順番に解説していくね。
BNPとは?心臓の負担を調べる血液検査

まずはBNPが何なのかから見ていくね。
BNPは心臓にかかっている負担を知る手がかりになる物質なんだ。
特に心室に圧力や血液量による負担がかかって心筋が引き伸ばされると、BNPの産生や分泌が増えていくよ。

心臓に負担がかかると出てくるなら、BNPって悪い物質なの?

そういうわけじゃないんだよ。
むしろ心臓への負担を減らす方向に働いてくれる物質なんだ。
BNPには、
- ナトリウムや水分を尿として排泄する方向に働く
- 血管を広げる
- 心臓に負担をかける神経やホルモンの働きを抑える
といった作用があるんだ。
つまりBNPは、心臓に負担がかかったときに増えて、その負担を少しでも減らそうとして働く物質なんだね。
BNPとNT-proBNPは何が違う?

心不全の血液検査にはBNPだけではなく、NT-proBNPというものもあるよ。
名前が似ている通り、この2つは無関係な物質ではないんだ。
次はNT-proBNPが「どうやって作られるのか」と「血液中に出たあと何が違うのか」の2つに分けて見ていくね。
BNPとNT-proBNPは同じところから作られる
心臓では、まずBNPのもとになるproBNPという物質が作られるんだ。
このproBNPが分かれて、
- BNP
- NT-proBNP
という2つの物質になるよ。
つまりBNPとNT-proBNPは、同じproBNPから生まれる兄弟のようなものと考えると分かりやすいね。

同じところから作られるなら、何が違うの?

一番分かりやすい違いは、その後の働きなんだ。
BNPには、さっき紹介したように血管を広げたり、ナトリウムや水分を排泄したりする生理作用があるよ。
だけどNT-proBNPには、BNPのような生理作用はないんだ。
だけど心臓への負担が増えるとBNPと一緒に増えるため、NT-proBNPも心不全を評価する大切な検査として使われているんだよ。
血液中での残り方や体から除かれる方法が違う
もう1つ大きく違うのが、血液中に出たあとの処理のされ方なんだ。
BNPは血液中に出たあと、BNPを取り込む受容体を介して処理されたり、酵素によって分解されたりするよ。
さらに腎臓もBNPの除去に関係していて、いくつかの経路を使って比較的早く血液中から減っていくんだ。
BNPの血液中での半減期は、およそ20分とされているよ。

半減期って何?

血液中にある物質の量が半分になるまでに、どのくらい時間がかかるかを表したものだよ。
だけど、NT-proBNPはBNPのように生理作用を持つ物質ではなく、体から除かれるときには腎臓からの排泄への依存が大きいんだ。
NT-proBNPの半減期はおよそ60〜120分程度とされていて、BNPより長く血液中に残りやすいよ。
この違いがあるため、同じproBNPから作られていても、血液中では一般的にNT-proBNPの方がBNPより高い数値になるんだ。
だから「BNPが100だったから、NT-proBNPも100くらい」といった比較はできないよ。
それに腎機能が低下するとNT-proBNPが体から排泄されにくくなるから、NT-proBNPは特に腎機能の影響を受けやすいという特徴もあるんだ。
BNP・NT-proBNPが高いと心不全なの?

ここからは検査結果を見るときに、一番気になる部分を解説していくね。
BNPやNT-proBNPは心不全を調べるためにとても役立つ検査だけど、数値が高いだけで心不全と診断できるわけではないんだ。
どうして心不全で上がるのか、そして心不全以外ではどんなときに変化するのかを見ていこう。
心不全ではなぜ高くなる?
心不全になると、心臓が十分に血液を送り出せなかったり、心臓の中に血液がたまりやすくなったりするよ。
そうすると心室に圧力や容量の負担がかかって、心筋が引き伸ばされるんだ。
この刺激によってBNPのもとになる物質が多く作られるようになり、BNPとNT-proBNPが血液中に増えていくよ。
だからBNP・NT-proBNPは、心臓にどのくらい負担がかかっているのかを考える材料として使われるんだ。
心不全以外でも高くなることがある
ここはとても重要なんだけど、BNP・NT-proBNPが高くなる原因は心不全だけではないよ。
例えば、
- 腎機能の低下
- 高齢
- 心房細動などの不整脈
- 弁膜症
- 心筋梗塞など心筋に障害が起きる病気
- 肺高血圧症など右心系に負担がかかる病気
- 貧血
などでも数値が高くなることがあるんだ。

じゃあBNPが高いだけでは、心不全かどうか分からないんだね。

そうなんだ。
BNPやNT-proBNPは心不全を考える大切な材料だけど、これだけで診断する検査ではないんだよ。
特に腎機能が低下するとBNP・NT-proBNPはどちらも上昇しやすくなるよ。
その中でもNT-proBNPは腎臓からの排泄への依存が大きいから、腎機能が低下した人では高い値になりやすいことを考えて数値を見る必要があるんだ。
逆に低く出やすい場合もある
逆にBNP・NT-proBNPが低めになりやすい代表的な要因が肥満なんだ。
肥満がある人では、心不全があってもBNPやNT-proBNPが思ったほど上昇しない場合があるよ。
BNP・NT-proBNPの数値はどう見る?

そうしたら、実際の数値について見ていこう。
まず覚えてほしいのは、BNPとNT-proBNPでは数値が大きく違うため、それぞれ別の基準で見るということだよ。
2025年改訂版の心不全診療ガイドラインでは、心不全の可能性を考えるカットオフ値として、
が示されているよ。
この値より低い場合には、すぐに治療が必要になるような心不全の可能性は低いと考えるための材料になるんだ。
逆に、BNPが35pg/mL以上、NT-proBNPが125pg/mL以上になってくると、心臓の構造や働きに問題がないかを他の検査も含めて確認することが大切になるよ。
さらにBNPが100pg/mL以上、NT-proBNPが300pg/mL以上で、息切れやむくみなど心不全を疑う症状や所見がある場合には、その症状が心不全による可能性が高くなってくるんだ。

じゃあBNPが100を超えていたら心不全ってこと?

そこは違うよ。
数値が高いほど心不全を疑う材料にはなるけど、その数字だけで心不全と確定するわけではないんだ。
BNP・NT-proBNPの数値を見るときは、数字だけではなく、その人の症状や年齢、腎機能、心臓の状態などを一緒に見ることが大切なんだよ。
BNP・NT-proBNPはどんなときに検査する?

BNP・NT-proBNPは、単純に「心不全があるか」を調べるためだけに使われる検査ではないんだ。
心不全が疑われたときの診断補助から、すでに心不全がある人の経過確認まで幅広く使われているよ。
息切れやむくみの原因を調べる
例えば、
- 歩いたときに息切れする
- 以前より疲れやすい
- 足がむくむ
- 急に体重が増えた
といった症状があるときに、心不全が隠れていないかを考える材料としてBNP・NT-proBNPを測定することがあるよ。
ただ息切れなら肺の病気、むくみなら腎臓や肝臓の病気など、心臓以外にも原因はいろいろあるよね。
だからBNP・NT-proBNPだけを見るのではなく、診察や他の検査と組み合わせて原因を調べていくんだ。
心不全の経過を確認する
すでに心不全と診断されている人では、治療中の経過を見るために測定されることもあるよ。
心不全によるうっ血が改善するとBNP・NT-proBNPが低下することがあるため、症状や体重、むくみなどと一緒に変化を確認していくんだ。
ただし「この数字まで下げれば治療成功」という単純な検査ではないよ。
同じ人でも体の状態によって数値は変わるため、以前の値と比べてどう変化しているのかも大切な情報になるんだ。
BNPとNT-proBNPはどちらを測ればいい?

ここまで聞くと、「結局BNPとNT-proBNPはどっちを調べた方がいいの?」と思うよね。
どちらも心不全を評価するために使える検査だから、基本的には医療機関で採用されているものが測定されるよ。

それなら両方測った方が、もっと詳しく分かるんじゃないの?

基本的に両方を同時に測らないといけないわけではないよ。
ただし、
- BNPは血液中から比較的早く減っていく
- NT-proBNPはBNPより長く血液中に残りやすい
- NT-proBNPは特に腎機能の影響を受けやすい
- BNPとNT-proBNPでは数値の基準が違う
といった特徴の違いがあるんだ。
だから実際には、患者さんの状態や医療機関で採用している検査に応じて、どちらかを使って評価することが多いよ。
BNPとNT-proBNPは、どちらも同じproBNPから作られて、心臓への負担を反映する方向に変化する検査。
だからといって、心不全を評価する目的で毎回2つとも測定しなければならないわけではないよ。
大切なのは、測定した方の特徴を理解して、その人の症状や腎機能、心エコーなど他の検査結果と合わせて判断することなんだ。
ただ注意点としては、過去の数値と比較するときには、
「前回もBNPだったのか」
「前回もNT-proBNPだったのか」
を確認することが大切だよ。
BNPとNT-proBNPでは数値そのものが大きく違うから、BNPとNT-proBNPの値をそのまま直接比較することはできないんだ。
BNP・NT-proBNPだけで心不全は診断できない

最後に、BNP・NT-proBNPを見るうえで一番大切なことを話していくね。
それは、BNP・NT-proBNPだけで心不全を診断するわけではないということなんだ。
心不全を調べるときには、BNP・NT-proBNPのほかにも、
- 息切れやむくみなどの症状
- 診察で分かる身体所見
- 心電図
- 胸部X線
- 心エコー
- 腎機能など他の血液検査
こういった情報を合わせて判断していくよ。
例えば腎機能が低下していれば数値は高くなりやすいし、肥満があれば逆に低く出ることもあるよね。
だから検査結果を見て数値が高かったとしても、数字だけを見て必要以上に心配するのではなく、他の検査結果と一緒に医師に確認することが大切なんだ。
「BNP・NT-proBNPは心不全を考えるための重要な手がかりの1つ」
と考えてもらうと分かりやすいよ。
まとめ

今回はBNPとNT-proBNPについてまとめてきたよ。
・BNPとNT-proBNPは心臓への負担を知る手がかりになる血液検査
・どちらも同じproBNPという物質から作られる
・BNPには生理作用があるが、NT-proBNPにはBNPのような生理作用はない
・BNPは受容体への取り込みや酵素分解など複数の経路で除去され、半減期は約20分
・NT-proBNPは腎臓からの排泄への依存が大きく、半減期は約60〜120分と長い
・患者さんの状態や医療機関で採用している検査に応じて、どちらかを使って評価することが多い
・心不全以外でも腎機能、年齢、不整脈などの影響で高くなることがある
・肥満では心不全があっても低めに出ることがある
・数値だけで心不全を診断する検査ではない
BNPとNT-proBNPは名前が似ているけど、体の中での働きや血液中に残る時間、体から除かれる方法には大きな違いがあったね。
だから2つの数値を直接比べることはできないし、検査結果を見るときにはどちらを測定したのかを確認することが大切なんだ。
最後に一番覚えておいてほしいのは、
BNP・NT-proBNPは心不全を診断するためにとても役立つ検査だけど、数値だけですべてが決まるわけではない
ということだよ。
検査結果が高かった場合には、症状や心エコー、心電図、腎機能など他の情報と合わせて確認していくよ。
参考文献
この記事は以下の医学ガイドライン・医学文献を参考に、一般向けに分かりやすく解説しています。
- 日本循環器学会・日本心不全学会. 2025年改訂版 心不全診療ガイドライン.
- Role of B-type natriuretic peptide (BNP) and NT-proBNP in clinical routine.
- B-Type Natriuretic Peptide (BNP) Revisited—Is BNP Still a Biomarker for Heart Failure in the Angiotensin Receptor/Neprilysin Inhibitor Era?
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