
こんにちは!
臨床検査技師のぴぃすけだよ。
今回は血液検査の「トロポニンT」について解説していくね。
トロポニンTは、特に心筋梗塞が疑われるときに重要になる検査のひとつなんだ。
だけど検査結果を見て「トロポニンTが高い=心筋梗塞なんだ」と考えるのは少し違うんだよ。
今回はそんなトロポニンTについて
- トロポニンTとは何なのか
- 高くなる理由
- 基準値の見方
- 心筋梗塞との関係
まで順番に分かりやすく解説していくね。
トロポニンTとは?

まずは、そもそもトロポニンTが何なのかから見ていくよ。
トロポニンは、筋肉が縮んだり緩んだりするときに関わっているたんぱく質なんだ。
トロポニンにはいくつか種類があって、その中には心臓の筋肉である「心筋」に存在するものがあるよ。
血液検査で測定する心筋トロポニンTは、主に心筋が傷ついていないかを調べるために使われるんだ。

心臓の中にあるものなのに、どうして血液検査で分かるの?

心筋が傷つくと、その中にあるトロポニンが血液中へ出てくるからだね。
健康な状態では血液中の心筋トロポニンTはごく少量だけど、心筋にダメージが起こると血液中の値が上昇するんだ。
だから…
トロポニンTは「心筋が傷ついているサイン」を見る検査
こう考えてもらうと分かりやすいよ。
なぜトロポニンTを測るの?心筋梗塞との関係

トロポニンTが特に重要になるのが、心筋梗塞が疑われるときなんだ。
胸の痛みなどがあって心筋梗塞の可能性を考える場合には、心電図などと一緒にトロポニンを調べることがあるよ。
この心筋梗塞というのは、
心臓に血液を送っている冠動脈という血管が詰まるなどして、心筋への血流が不足する状態
血液が十分に届かない状態が続くと心筋が傷ついて、その結果として血液中のトロポニンが増えてくるよ。
ちなみに今は、より少ない量のトロポニンまで測定できる「高感度心筋トロポニン」が、急性心筋梗塞を評価するときの重要な検査として使われているんだよ。
医療ってどんどん進歩していってるね!

これってトロポニンTが高かったら、心筋梗塞ってこと?

そこは大切なポイントだね。トロポニンTだけで心筋梗塞と決めるわけではないよ。
トロポニンTが高い=心筋梗塞?

ここまで聞くと「トロポニンTが高い=心筋梗塞」と心配になりそうだね。
確かに心筋梗塞はトロポニンTが高くなる代表的な原因のひとつだけど、トロポニンTが高いから必ず心筋梗塞というわけではないんだ。
高いのは「心筋が傷ついているサイン」
心筋トロポニンは、心筋の傷害を見つけることに優れた検査なんだ。
ここで出てくるのが「特異性」という言葉だね。

特異性が高いって、どういうこと?

簡単にいうと、心筋トロポニンが増えていたら「心筋に何かしらのダメージが起きている」と考えるための重要なサインになるってことだよ。
ただし、ここで注意してほしいことがあるんだ。
基準となる上限を超えてトロポニンが上昇している状態を「心筋傷害」というんだ。
心筋梗塞は心筋傷害を起こす病気のひとつだけど、心筋を傷つける原因はほかにもあるんだよ。
心筋梗塞以外でも高くなることがある
トロポニンが上昇する原因としては、心筋梗塞以外にもいろいろなものがあるんだ。
例えば、
- 心不全
- 心筋炎
- 頻脈など心臓に強い負担がかかった状態
- 肺塞栓症
- 腎機能が低下している場合
- 敗血症など全身状態が大きく悪化している場合
こういった状態でもトロポニンが高くなることがあるよ。

じゃあ高かったとしても、何が原因なのかを調べないと分からないんだね。

その通りだよ。トロポニンTは心筋のダメージを見つける検査であって、その原因まで1つに決める検査ではないんだ。
トロポニンTは「変化」も大切

トロポニンTを見るときには、単純に「高いか低いか」だけではなく、時間による値の変化もすごく大切なんだ。
だから心筋梗塞などが疑われる場合には、1回だけではなく時間を空けて再度採血することがあるよ。
というのも、急性の心筋傷害では、時間とともにトロポニンが上昇したり、その後低下したりする変化が見られることがあるんだ。
ただ、病気の状態などによってはトロポニンが以前から高く、あまり大きく変化しない場合もあるよ。

これって最初が低くても、何回か測らないといけないの?

そうなんだ。
症状が出てすぐだと、まだ血液中のトロポニンが十分に増えていない場合があるから、症状がある場合は何度か採血して確認することが大切だよ。
「最初の検査では低かったけど、その後上昇してきた」
という変化が診断の重要な情報になることがあるんだ。
どのくらい時間を空けて測定するかや、どの程度の変化を重要と考えるかは、使用している検査法や患者さんの状態などによって変わるよ。
トロポニンTは、その時の結果だけじゃなく、時間とともにどう動いたのかも見る検査ってことだね。
トロポニンTの結果の見方

そうしたら、実際のトロポニンTの検査結果をどう見ればいいのかも確認していこう。
心筋トロポニンTは健康な状態では血液中にごく少量しか存在しないため、値が上昇しているかどうかが重要になるんだ。
高感度トロポニンTの一例として、ロシュの「エクルーシス試薬 トロポニンT hs」では、参考基準範囲が14ng/L以下とされているよ。

ngって何?

10億分の1グラムだね。限りなく少ないって覚えておいてもらえれば大丈夫だよ。
この基準の値を超えていれば心筋傷害を考える材料になるけど、さっき解説したように、その数字だけで原因までは分からないんだ。
だから、トロポニンTが高かった場合には他の情報も合わせて判断していくことが大切になるよ。
トロポニンTを合わせて判断する項目
心筋梗塞などを判断するときには、トロポニンTだけを見るわけではないんだ。
例えば、
- 胸痛などの症状
- 症状が始まった時間
- 心電図
- トロポニンTの値
- 時間によるトロポニンTの変化
- 必要に応じて心エコーなどの検査
こうした情報を組み合わせて医師が判断していくよ。

血液検査で高かったから心筋梗塞、っていう単純なものじゃないんだね。

そうなんだ。トロポニンTはとても重要な検査だけど、他の情報と合わせて考えることが大切なんだよ。
実はトロポニンには種類がある!TとIは何が違う?

最後に、トロポニンの種類について少しだけ話しておくね。
心筋の傷害を調べる検査では、主に心筋トロポニンTと心筋トロポニンIが使われているんだ。

TとIなら、どっちを測った方がいいの?

少し特性に違いはあるけど、どちらも心筋の傷害を調べる重要な検査だから、どっちがいいというのはないよ。
病院によってトロポニンTを測定しているところもあれば、トロポニンIを測定しているところもあるんだ。
どちらも心筋梗塞が疑われるときの評価に使われているよ。
ただしTとIでは測定方法や基準となる数値が違うから、「Tが20でIが10だからTの方が高い」というように数値を直接比べることはできないよ。
「TとIのどちらも、心筋が傷ついていないかを見るために使われる検査」と覚えておけば大丈夫だよ。
まとめ

今回は血液検査のトロポニンTについてまとめてきたよ。
・トロポニンTは心筋の傷害を調べるための血液検査
・特に心筋梗塞が疑われるときに重要な検査
・高いからといって必ず心筋梗塞というわけではない
・心不全や心筋炎など、心筋梗塞以外でも上昇することがある
・1回の数値だけでなく時間による変化を見ることも大切
・発症直後では正常でも、その後トロポニンが上昇する場合がある
・症状や心電図など他の情報と組み合わせて判断する
・トロポニンTとIは、どちらも心筋傷害を調べるために使われる
トロポニンTは心筋梗塞の診断でとても重要な検査だけど、
「高い=心筋梗塞」「正常=絶対に心筋梗塞ではない」
という単純な検査ではないんだ。
一番覚えておいて欲しいのは、トロポニンTは心筋が傷ついていることを知るためのサインだということだね。
その原因が何なのかは、症状や心電図、時間によるトロポニンの変化などを合わせて判断していくよ。
検査結果にトロポニンTが書いてあったときには、数字だけを見て心配しすぎず、どういった理由で検査したのかも含めて考えてみてね。
参考文献
この記事は以下の医学資料・公的資料を参考に、一般向けに分かりやすく解説しています。
- Thygesen K, et al. Fourth Universal Definition of Myocardial Infarction (2018). Circulation. 2018.
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) エクルーシス試薬 トロポニンT hs 添付文書



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