
こんにちは!
臨床検査技師のぴぃすけだよ。
今回は血液検査の「トランスフェリン」について解説していくね。
鉄というと血液検査の項目のFeを思い浮かべるかもしれないけど、鉄が体の中を移動するためにはトランスフェリンの働きが欠かせないんだよ。
さらにトランスフェリンは、鉄が不足したときだけでなく、炎症や肝臓の状態、栄養状態などによっても変化することがあるんだ。
今回はそんな
- トランスフェリンがどんなものなのか
- 高い場合や低い場合には何が考えられるのか
- TIBCやトランスフェリン飽和度との関係
まで順番に見ていくね。
トランスフェリンって何?

まずは「そもそもトランスフェリンって何?」っていう部分だよ。
トランスフェリンは、血液中で鉄を運ぶためのタンパク質なんだよ。
これは主に肝臓で作られていて、血液中にある鉄と結合して体のいろいろな場所まで運んでいるんだ。

鉄って、そのまま血液の中を流れているわけじゃないの?

そうなんだ。鉄はトランスフェリンと結合して運ばれているんだよ。
トランスフェリンは「鉄を運ぶトラック」みたいに考えると分かりやすいよ。
ちなみに血液検査での基準値としては、こんな感じだよ。
ただ、トランスフェリンの基準値は検査方法や施設によって違いがあるから、自分の結果を見るときには、検査結果に書かれている基準値を確認してね。
トランスフェリンは鉄をどこへ運んでいる?

そうしたらトランスフェリンが鉄を運ぶ理由だね。
なぜ体で鉄が必要なのかというと、ある場所で必要だからなんだ。
それで特に重要なのが赤血球を作る場所なんだ。
赤血球の中には、酸素を運ぶヘモグロビンがあるよね。
そのヘモグロビンを作るためには鉄が必要になるんだよ。
だからトランスフェリンが鉄を運んできて、赤血球になる細胞へ届けているんだ。

家に荷物を届けてくれる配送業者みたいだね。

まさにそんな感じだね。ちなみに細胞には「トランスフェリン受容体」という、トランスフェリンを受け取る場所があるんだよ。
それで鉄を乗せたトランスフェリンがこの受容体に結合することで、細胞は必要な鉄を取り込むことができるんだよ。
そして、すぐに使われない鉄は肝臓などに運ばれ、フェリチンなどの形で蓄えられるよ。
トランスフェリンが高くなるのはどんなとき?

次は血液検査でトランスフェリンが高かった場合について見ていくね。
代表的なのが鉄不足なんだ。

鉄不足なのに、鉄を運ぶトランスフェリンは増えるの?

ここは少し意外だよね。
鉄が少なくなると、体は少ない鉄をできるだけ効率よく運ぼうとして、トランスフェリンを増やす方向に働くんだ。
さっきのトラックで考えると、運ぶ荷物である鉄が少ないから、少ない鉄を少しでも拾えるように「鉄を探しに行くトラック」を増やしているようなイメージだね。
だから鉄欠乏では、トランスフェリンやトランスフェリンと関係するTIBCが高くなることがあるんだ。
TIBCは血液中で鉄を結合できる全体の容量のことだよ。
ここで覚えておいてほしいのは、「トランスフェリンが高い=鉄が多い」ではないということだよ。
むしろ鉄不足で高くなることがあるというところが、トランスフェリンを見るときの大切なポイントなんだ。
トランスフェリンが低くなるのはどんなとき?

反対にトランスフェリンが低かった場合には、何が考えられるかな?
実はトランスフェリンは鉄の状態だけでなく、炎症や肝臓、栄養状態などの影響も受けるんだ。
だから低値の場合には、「鉄だけ」を見て原因を考えないことが大切だよ。
炎症があるとトランスフェリンは低くなる
まず知っておいてほしいのが炎症との関係だね。
トランスフェリンは、炎症が起こったときに血液中の濃度が低下するんだ。

鉄が足りなくても増えるのに、炎症があると下がることがあるんだね。

そうなんだ。だからトランスフェリンの値だけで鉄不足かどうかを決めることはできないんだよ。
炎症がある場合には、CRPなど他の検査結果や体の状態も合わせて考える必要があるね。
肝臓や栄養状態でも低くなる
もうひとつ重要なのが、トランスフェリンがどこで作られていたか考えることなんだ。
これは主に肝臓で作られているということを話したよね。
だから肝臓の機能が低下してトランスフェリンを十分に作れなくなると、血液中のトランスフェリンが低くなることがあるんだ。
あと、トランスフェリンはタンパク質だから、十分な栄養がとれていない状態でも低下することがあるよ。
このほかにも、尿からタンパク質が大量に失われるネフローゼ症候群などで低値になる場合もあるんだ。
トランスフェリンだけで鉄不足は分かる?

そうしたら次はトランスフェリンと鉄不足の関係について話していくね。
さっきも話したように「鉄不足になるとトランスフェリンは高くなる」という関係だったよね。
でも実際には、トランスフェリンだけで鉄不足を判断するわけではないんだ。

鉄不足で増えるなら、それだけ見ればよさそうだけど?

鉄不足以外でも値が変わるからなんだ。
だからFeやフェリチンなど、ほかの鉄関連検査と組み合わせることが大切なんだよ。
鉄の状態を調べるときには、例えば、
- Fe:血液中を運ばれている鉄
- フェリチン:体に蓄えられている鉄の状態を見る
- トランスフェリン:鉄を運ぶタンパク質
- TIBC・UIBC:鉄と結合できる能力を見る
こういった検査を組み合わせて見ていくんだ。
例えば鉄不足では、Feやフェリチンが低くなり、トランスフェリンやTIBCは高くなる方向へ変化することがあるよ。
ただ炎症があるとフェリチンやトランスフェリンにも影響するため、単純にひとつの数値だけを見て判断できない場合もあるんだ。
鉄の状態は、複数の検査結果を組み合わせて考えることが大切
ちなみにFeやフェリチン、TIBC、UIBCについては別の記事で詳しく解説しているよ。

トランスフェリンとTIBCはどう違う?

トランスフェリンについて調べていると、よく一緒に出てくるのがTIBCだよ。
この2つは関係が深いんだけど、まったく同じものではないんだ。

鉄を結合できる全体の量って言ってたね。あれ?でもそれってトランスフェリンと一緒じゃないの?

かなり近い情報を見ているけど、見ているものが少し違うんだよ。
TIBCは日本語では「総鉄結合能」と呼ばれているよ。
血液中で鉄と結合する働きの大部分はトランスフェリンが担っているんだ。
だからトランスフェリンが増えるとTIBCも高くなりやすいんだ。
結果として鉄不足では、トランスフェリンとTIBCの両方が高くなることがあるんだよ。
簡単にいうと、トランスフェリンは鉄を運ぶ「乗り物そのもの」、TIBCはその乗り物にどのくらい鉄を乗せられるかを見ていると考えると分かりやすいね。

トラックの台数と容量みたいな感じだね。

そうそう。そんな感じ。
トランスフェリン飽和度って何?

最後に、トランスフェリンを理解するときにもうひとつ知っておきたい「トランスフェリン飽和度」について話していくね。
英語ではTransferrin Saturationといい、TSATと略されることもあるよ。
これはトランスフェリンが鉄を運べる部分のうち、実際にどのくらい鉄が結合しているのかを割合で表したものなんだ。

割合ってどういうこと?

トランスフェリンをトラックと考えると鉄を乗せる「容量」があるよね。
その容量のうち、実際にどのくらい鉄が載っているのかを見るのがトランスフェリン飽和度なんだ。
トランスフェリン飽和度は、血清鉄とTIBCから次のように計算できるよ。
鉄が不足していると、鉄を載せる場所はたくさんあるのに、実際に載っている鉄が少ない状態になるよね。
そのため鉄不足では、トランスフェリン飽和度が低くなる傾向があるんだ。
反対に体の中に鉄が多い状態では、トランスフェリンにたくさんの鉄が結合するため、飽和度が高くなることがあるよ。
トランスフェリンの「量」だけでなく、そこに「どのくらい鉄が存在するか」を見ることも鉄の状態を考えるために大切ってことだね。
まとめ

ということで、今回はトランスフェリンについてまとめてきたよ。
・トランスフェリンは血液中で鉄を運ぶタンパク質
・主に肝臓で作られ、鉄を必要とする細胞へ届けている
・鉄不足ではトランスフェリンが高くなることがある
・炎症、肝疾患、低栄養などでは低くなることがある
・トランスフェリンだけで鉄不足かどうかを判断するわけではない
・TIBCは鉄と結合できる能力を表し、トランスフェリンと強く関係している
・トランスフェリン飽和度では、鉄を結合できる部分のうち実際にどのくらい鉄が結合しているかを見る
トランスフェリンは、鉄そのものではなく「鉄を運ぶ側」を見る検査なんだ。
だからFeが低い、高いという話とは少し違って、鉄を運ぶために体がどんな状態になっているのかを考える手がかりになるよ。
ただ、炎症や肝臓、栄養状態などでも変化するから、トランスフェリンだけを見て「鉄が足りない」「鉄が多い」と判断しないことが大切なんだ。
Fe、フェリチン、TIBC、UIBCなどと一緒に見ることで、体の中の鉄の状態がより分かりやすくなるよ。
●関連記事

参考文献
この記事は以下の医学資料・検査情報を参考に、一般向けに分かりやすく解説しています。



コメント