
こんにちは!
臨床検査技師のぴぃすけだよ。
今日は血液検査の項目の1つ、MCHについて解説していくね。
MCHは貧血の原因を追求する大事な検査項目のひとつなんだ。
血液検査の結果とかに書いてあったりするよね。
だけど「具体的に何を見ているのか」「高い・低いで何がわかるのか」って詳しく知らない人も多いと思うんだ。
ちょっと聞きなれない言葉だからこそ理解しておくと役に立つんだよ。
今日はそんなMCHについて
- 何をみている検査項目なのか
- 高いときに考えること
- 低いときに考えること
- 他の検査と組み合わせる必要性
こういったことを話していくね。
MCHとは?

まず最初に「MCHって何?」という基礎から。
MCHは略さずに書くとmean-corpuscular-hemoglobinっていうんだ。
日本語では「平均赤血球ヘモグロビン量」と呼ばれているよ。
赤血球の中で重要なのがヘモグロビン。
これは全身に酸素を運ぶために必要なものだよ。
そのくらい大切なヘモグロビンが赤血球1個あたりにどれくらい入っているかを示しているんだ。
MCHの基準値
MCHの基準値はこのようになっているよ。

ピコグラムって聞いたことないけど、どのくらいなの?

1pgは1兆分の1グラムだね。すごく小さい単位なんだ。
赤血球自体が小さくて、その中に入っているのがヘモグロビンだから少ないのは納得だね。
この基準値より高ければ、赤血球1つに含まれるヘモグロビンが多い。
逆に小さければ、含まれるヘモグロビンが少ないということになるんだよ。
赤血球とヘモグロビンの関係

さっきも話したように赤血球の中には酸素を運ぶヘモグロビンがたっぷり入っているよ。
だからMCHは
「赤血球の中に酸素を運ぶヘモグロビンどのくらいあるのか」
を推定している検査項目とも言えるね。
ちなみに赤血球の95%くらいがヘモグロビンなんだよ。
それでこのMCHの値の出し方なんだけど、、
やっぱりこれだけ小さいと直接測ることは出来ないんだ。
だから他の項目から計算して算出しているんだ。
計算式はこれだよ。
MCH=ヘモグロビン値(g/dL)÷赤血球数(10^6/μLか㎣)×10
数学が得意な人だったら、計算式を見ると何を表しているかが分かるかもね。

にわじいはわかった?

なんのこっちゃさっぱりわからん。
これはヘモグロビン量を赤血球の数で割ることで、1つの赤血球あたりにどのくらいヘモグロビンが含まれているかを出しているってことだね。

今度こそわかってくれた?

なんのこっちゃさっぱりわからん。(リピート)
というので、にわじいはあれだけどみんな分かってくれたよね。
貧血とMCHの関わり
じゃあ次はこのMCHが何を見ているかを解説していくね。
MCHは主に「貧血のタイプ」を見分けるときに使われるんだ。
貧血といえば「血が足りない状態」だけど、その原因はさまざま。
赤血球の数が足りない場合もあれば、赤血球自体はあるのに中のヘモグロビンが少ない場合もある。
単純に「貧血です」となっても、原因が分からなければ対処法もわからないよね。
だからそういった場合には、MCHと実は後2つの項目を考えて原因を究明していくんだよ。
この話はもうちょっと後で話していくね。
ちなみに一応MCHだけでもある程度は推測は出来るんだ。
例えば値が低いと
「赤血球に十分なヘモグロビンが詰め込まれていない」
という状態を示すんだ。
これは鉄欠乏性貧血などが疑われるんだ。
まとめるとこんな感じだね。
MCV・MCH・MCHCの違いと組み合わせ
ただ貧血の原因を追うときには上で言ったようにMCHとプラス2項目
- MCV
- MCH
- MCHC
この3つを組み合わせて考えるんだ。
MCH | MCV | MCHC | 疑われる貧血の種類 |
---|---|---|---|
基準値より低い | 基準値より小さい | 基準値より低い | 鉄欠乏性貧血、慢性的な出血による貧血など |
おおよそ基準値内 | おおよそ基準値内 | おおよそ基準値内 | 再生不良性貧血、溶血性貧血など |
基準値より高い | 基準値より大きい | おおよそ基準値内 | 溶血性貧血、巨赤芽球性貧血など |
詳しくまとめるとこういった感じになるよ。
まとめ
今日の内容をまとめるとこんな感じだね。
・MCHとは平均赤血球ヘモグロビン量
・赤血球1つにどのくらいヘモグロビンが含まれているかを表す
・MCH=ヘモグロビン値(g/dL)÷赤血球数(10^6/μLか㎣)×10
・基準値:27〜32pg
・低いと鉄欠乏性貧血、高いと巨赤芽球性貧血などが疑われる
・MCV、MCH、MCHCの3つを組み合わせて原因を追求する
貧血って言っても原因が様々だったりするんだ。
だからこうやって細かく検査をして原因を追究するのが重要だね。
そうすることで適切な治療が出来るってことだからね。
自分でも知っておくと「この数値が低いから、●●しようかな」なんて考えることも出来るようになるよ。
こういった知識って、いざという時に役立つから覚えていってね。
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MCV・MCH・MCHCの概要をまとめた記事だよ。

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