
こんにちは!
臨床検査技師のぴぃすけだよ。
今日は尿沈渣の中の、上皮細胞について話をしていくよ。
尿検査で何か気になるものがあった場合に詳しく検査をするのが、尿沈渣というものなんだ。
その尿沈渣ではなんの細胞があるかを目で確認して、診断をつけていくということをしているんだ。
その中で上皮細胞が基準値よりも高いと言われたらどんなことが考えられるのか。
- 上皮細胞とは?
- 各上皮細胞と病気の関係
この内容を詳しく解説していくね。
尿沈渣の上皮細胞とは?

まず上皮細胞について少し大まかな話をしていくね。
この『上皮』って言葉はあまり聞かないからよくわからないよね。
一番身近な部分でいうと、体を見てもらうとわかるんだけど、腕に皮がついているよね。
その表面にあるものが上皮細胞だよ。
尿沈渣で見られる上皮というのも尿細管のものだったり膀胱のものだったりしているだけなんだ。
だから基本的には同じように考えてもらって大丈夫だよ。
尿沈渣で出てきた上皮がどこから剥がれ落ちてきているのかで病気が変わってくるんだ。
ちなみに見た目が全然違うんだよ。
その1つ1つに名前がついているから、それも一緒に説明していくね。
基準値は?
と、その前に上皮細胞の基準値をまとめておくね。
こんな感じになっているよ。
なぜ女性の方が多いかについては、後で話していくね。
上皮細胞で考えられる病気は?

上皮細胞はさっきも話したように、どこの上皮が剥がれ落ちたかによって病気を推測することができるんだ。
だから今見ている上皮がどこからの上皮なのかが重要になってくるんだ。
その上皮細胞には 7種類あるんだよ。
- 扁平上皮細胞
- 尿細管上皮細胞
- 移行上皮細胞
- 円柱上皮細胞
- 封入体細胞
- 卵円形脂肪体
- 異形細胞
この7種類になるよ。
順番に説明していくね!
扁平上皮細胞

扁平上皮細胞は…
外尿道口周辺の粘膜のところの細胞
この細胞は深さによって、表層細胞、中層細胞、深層細胞と分けられているんだ。

一番奥の深層細胞は出にくいのがわかるよね。
この深層細胞が出てくるということは病状が進行していることを表すよ。
扁平上皮が出る病気としては
- 尿道炎
- 尿路結石
が考えられるよ。
男性で扁平上皮細胞が多く見られる場合は尿道炎である可能性が高いよ。

女性は?
実はこの細胞は女性のホルモン作用によって増殖する細胞なんだ。
これが基準値が女性の方が多いという理由だね!
だから女性の場合は異常がなくても見られる場合もあるよ。
あとは放射線治療中の時や尿道にカテーテルを入れたことによる傷なんかも見られる時があるね。
尿細管上皮細胞

次は尿細管上皮細胞について話をしていくね。
尿細管上皮はその名の通りだね。
尿細管の上皮が剥がれ落ちてきた場合に尿中に出るよ。

病気としては
- 糸球体腎炎
- ネフローゼ症候群
などが考えられるよ。
ちなみに尿細管上皮が認められた時に一緒に上皮円柱や顆粒円柱も見られる場合があるよ。
移行上皮細胞

移行上皮細胞は…
腎臓の腎盂という場所から尿管、膀胱、内尿道口付近の細胞が剥がれ落ちたものになるよ。
出てくる理由としては出てきた場所の炎症があげられね。
あとは、カテーテルを挿入した時に傷をつけてしまった場合にも出るんだ。
円柱上皮細胞

円柱上皮細胞は男性では尿道の隔膜部や海綿体部の粘膜、尿道球腺、前立腺から出るよ。
女性では尿道の一部や大前庭腺から出る細胞だよ。
円柱上皮細胞が見られる場合には、
- 尿道炎
- 前立腺炎
が考えられるよ。
封入体細胞

封入体細胞というのは…
細胞の中に円形の無構造の封入物(封入体)が入っている細胞
こういった細胞のことだよ。
だから封入体細胞と呼ぶんだね。
封入体っていうのはウイルス感染で感染された細胞の中に現れる、異常な物質と言われているよ。
上で説明してきたような
- 扁平上皮細胞
- 尿細管上皮細胞
- 移行上皮細胞
- 円柱上皮細胞
この細胞の中に封入体が入っていれば封入体細胞と呼ぶんだよ。
この細胞が出てきた時に考えられる病気としては
- 感染症
- 膀胱炎
などがあるよ。
ただ健康な人の尿の中に見られることもあるから注意が必要だね。
他の検査と比較してみていくことが重要になるんだ。
卵円形脂肪体
この卵円形脂肪体は、尿細管上皮細胞が脂肪変性したもののことだよ。
内部に脂肪顆粒と呼ばれる、脂肪を含んだ粒子をたくさんもっているのが特徴だよ。
この細胞が現れる疾患は重症ネフローゼ症候群が代表だね。
異形細胞

最後は異形細胞について話をするね。
異型細胞っていうのは
正常な細胞と比べて悪性の所見を疑う異型所見がある細胞
こういった細胞のことだよ。
「悪そうな顔のやつ」とか言ったりする人もいるんだ。
ただこの異形細胞の中でも
- 良性細胞
- 悪性細胞
この2つに分けられるんだ。
良性細胞の場合は、炎症や尿管結石、放射線治療などによる非腫瘍性の細胞だよ。
悪性細胞は腫瘍性の細胞(悪性腫瘍の細胞)のことをいうよ。
異形細胞と聞くとすごく悪そうに思うけど、悪性というわけではないんだ。
単に異形細胞だけでは、良性なのか悪性なのかは判断することができないんだよ。
悪性腫瘍の場合は一般的には尿路系の腫瘍が考えられるんだ。
特に悪性腫瘍の中でも膀胱癌は中高年の男性に多いよ。
上皮細胞と病気一覧
ちょっと内容が多かったから最後に表でまとめておくね。
名前 | どこの上皮 | 疑われる病気 |
---|---|---|
扁平上皮細胞 | 外尿道口周辺の粘膜 | 尿道炎 尿路結石 |
尿細管上皮細胞 | 尿細管の上皮 | 糸球体腎炎 ネフローゼ症候群 |
移行上皮細胞 | 腎臓の腎盂という場所から尿管、膀胱、内尿道口付近 | 出てきた場所の炎症 |
円形上皮細胞 | 男性:尿道の隔膜部や海綿体部の粘膜、尿道球腺、前立腺 女性:尿道の一部や大前庭腺 | 尿道炎 前立腺炎 |
封入体細胞 | 細胞の中に円形の無構造の封入物(封入体)が入っている細胞 | 感染症 膀胱炎 |
卵円形脂肪体 | 尿細管上皮細胞が脂肪変性したもの | 重症ネフローゼ症候群 |
異形細胞(良性) | 正常な細胞と比べて悪性の所見を疑う異型所見がある細胞 | 炎症や尿管結石 放射線治療などによる非腫瘍性の細胞 |
異形細胞(悪性) | 正常な細胞と比べて悪性の所見を疑う異型所見がある細胞 | 尿路系の腫瘍 |

いろいろ分かるんだね。

まとめるとよくわかるよね。
まとめ
今日の上皮細胞についてまとめていくね。
・上皮細胞はどこかの尿路系の上皮が剥がれ落ちたもの
・基準値が男女で違うのは、女性ホルモンによって上皮細胞が増えるから
・7つの種類の細胞がある
・出てきた細胞によって病気を推測していく
こんな感じだったね!
上皮細胞が出たからといって、必ず病気というわけではないんだよ。
確かに炎症などを起こして上皮細胞が剥がれて数がふえることがあるよ。
だけど女性なんかは特に採尿の時に出始めの尿を採ってしまうと、扁平上皮なんかは入ってしまうからね。
だから上皮だけで見るんじゃなくて、上皮プラス白血球とか赤血球など他の細胞が出ていないかもチェックしていくよ。
こうやっていろいなものを合わせて検査して、病気かどうかっていうことを判断していくだ。
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