
こんにちは!
臨床検査技師のぴぃすけだよ。
今回は『クッシング症候群』というものについて解説をしていくね。
これは体の中のコルチゾールというホルモンが出すぎてしまうことで起こるんだ。
このコルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれるものなんだ。
そんなクッシング症候群について
- クッシング症候群とはなに?
- 原因の分類
- 出てくる症状
- 検査の方法
- 治療の方法
- 合併症
こういった内容を、しっかりまとめていくね。
それじゃあまず、クッシング症候群ってどんな病気なのかから話していくよ。
クッシング症候群とは?
クッシング症候群は、最初にちょっと話したように体の中で
コルチゾール
というホルモンが長いあいだ過剰に出続けることで、いろんな不調が起こる病気なんだ。
ちなみにこれは副腎の皮質という場所から分泌されるよ。
症状としては、
- 太り方が独特だったり
- 顔が丸くなったり
- 筋力が落ちたり
見た目の変化も大きいのが特徴なんだ。
ここでは、その原因を大きく説明していくね。
原因の分類
まず大きく分けるとクッシング症候群の原因は、
- 体の中でコルチゾールを作りすぎるタイプ:外因性クッシング症候群
- 薬で外から取りすぎてしまうタイプ:内因性クッシング症候群
この2つに分けられるんだ。
●外因性クッシング症候群
ステロイド薬を長く使うことで起こるのが、外因性クッシング症候群なんだ。
これは病気というより、薬の副作用として起こるものだね。
●内因性クッシング症候群
体の中からコルチゾールが出すぎてしまうのが内因性クッシング症候群だね。
これはさらに、
- 脳の下垂体に腫瘍ができてホルモンを出しすぎるタイプ
- 副腎そのものに腫瘍ができてコルチゾールを作りすぎるタイプ
- 体の別の場所にできた腫瘍がホルモンをまねして刺激を出すタイプ(異所性ACTH産生腫瘍)
この3つに分けられるんだ。

クッシング症候群と一言でいっても、いろいろ原因はあるんだね。

そうだね。どこが原因かを特定することが治療のために必要になるんだよ。
クッシング症候群の症状
次はクッシング症候群の症状の話だよ。
クッシング症候群になると、見た目の変化から体の中の代謝まで、いろんなところに影響が出るんだ。
体系の変化
まず一番目立つのが「体型の変化」になるよ。
- 顔が丸くなる満月様顔貌(まんげつようがんぼう)
- 首のうしろに脂肪がたまる野牛肩(やぎゅうけん)
こういった変化がみられるんだ。
他にもお腹まわりは太るのに、手足は細いという体型になったりもするよ。
これはコルチゾールが脂肪を分解したり移動させたりする働きを強くする。
結果的に、脂肪が体の中心部にたまりやすくなるんだよ。
筋肉の変化
あとは筋肉が落ちて力が入りにくくなることも多いんだ。
特に太ももや二の腕などの筋肉が弱くなるのが特徴なんだよ。
これも、コルチゾールが筋肉のたんぱく質を分解してしまうせいなんだ。
そのほかの変化
他にも
- 皮膚が薄くなって傷つきやすくなる
- 紫色の線(皮膚線条)が出る
- 血管がもろくなって内出血しやすくなる
こういったことが起こるのもクッシング症候群の特徴だよ。
あと最後に合併症のところでも話すけど、高血圧や糖尿病といういった状態にもなってしまうんだ。

コルチゾールが過剰に出るって全身に影響があるんだね…。

そうだね。本来は体の防御としての働きなんだけど過剰になると悪影響になってしまうね。
クッシング症候群の検査方法
クッシング症候群の検査は、原因で話をした
- 本当にコルチゾールが出すぎているか
- そのコルチゾールがどこから出ているのか
これを調べることが重要になるよ。
そのために段階をふんで検査を進めていくんだ。
まず最初は血液検査などでコルチゾール自体が高くなっていないかを確認するよ。
もし高くなっているなら、「デキサメサゾン(デキサメタゾン)抑制試験」っていう検査を行ったりするよ。

デキサメサゾン?

ここら辺はちょっと難しいね。ホルモンが正常な反応がされるかどうかを確認すると覚えてもらえれば大丈夫だよ。
具体的には、夜に薬を飲む。
次の日の朝に血液をとってコルチゾールが下がってるかをみるという方法だね。
普通ならコルチゾールの分泌を抑えられるんだけど、クッシング症候群では下がらないんだ。
他にも、
- 24時間尿中の遊離コルチゾールを測る方法
- 夜の唾液のコルチゾール
こういったものをを調べる検査もあるよ。
夜になってもホルモンが下がらない人は、クッシング症候群を強く疑うってことだね。
クッシング症候群となったら
そういった検査をして「コルチゾールの値が高い」となったら、次は「どこが原因なのか」を調べていくよ。
これは血液中のACTHというホルモンを測って、
- 下垂体が悪いのか
- 副腎が悪いのか
このどちらかをを見分けることが重要だよ。

コルチゾールは副腎から出るんだったよね。なんで下垂体も?

下垂体はACTHと言って副腎を刺激するホルモンを分泌するからだね。
副腎を刺激するACTHが高いなら脳の下垂体が主な原因。
ただこの時には、体の別の腫瘍が原因の場合もあるから注意だよ。
だけど逆に低いなら刺激のされ方自体は変わらないけどコルチゾールが過剰に分泌されているってことだよね。
だから副腎が原因の可能性が高いんだよ。
さらにこんな検査も
そのあと、MRIやCTを使って、下垂体や副腎に腫瘍があるかを確認するんだ。
もしそれでも原因がはっきりしないときは、特殊な検査で下垂体から出てくる血液を直接調べることもあるんだよ。
これは「下錐体静脈サンプリング(IPSS)」っていう、ちょっと専門的な検査なんだよ。
クッシング症候群の検査って、一気に答えが出るものじゃなくて、
- 「本当に多い?」
- 「どこが出してる?」
って順番に調べていく感じなんだ。
時間はかかるけど、原因を見つけることが治療のために重要だから必要なんだ。
治療方法
検査をしてクッシング症候群という診断がついたら治療をするね。
というので、次は治療についての話になるよ。
しっかり検査で原因を見つけて「コルチゾールを作りすぎている場所」が分かったら、そこを正しく治すことが基本になるよ。
●下垂体が原因
まず下垂体にできた腫瘍が原因の場合だね。
ちなみに「クッシング病」ってタイプになるんだ。
これは、脳の下のほうにある下垂体の腫瘍を手術で取るのが基本になるよ。

手術…
絶対ではないけど、鼻の奥から入って腫瘍を切除する方法が可能で、体に大きな傷をつけずに治療できることもあるよ。
●副腎が原因
もし副腎に腫瘍ができているタイプなら、片方の副腎を摘出する手術をするんだ。
これも大きくお腹を切るというよりも腹腔鏡っていうカメラを使った小さな手術でできることも多いんだよ。
●手術が難しい・下がらない
腫瘍を取る手術がむずかしい場合や、手術してもホルモンが下がらない場合は、薬でコルチゾールの量をコントロールすることもあるんだ。
薬でコルチゾールが作られるのをブロックするという方法だね。
こうやってクッシング症候群の治療は、
「出しすぎる原因を止める」
これがゴールになるよ。
合併症
最後は合併症について少し話をしていくね。
クッシング症候群は、ホルモンのバランスが長く崩れていることで、いろんな合併症が起こることがあるんだ。
まず多いのが「高血圧」と「糖尿病」になるよ。
コルチゾールには血糖を上げる働きと、血管を収縮させる作用がある。
だから長い期間コルチゾールが多すぎると血圧も血糖も上がりっぱなしになっちゃうんだ。
それから「骨粗しょう症」も大事な合併症になるよ。
コルチゾールは骨を作る細胞の働きを弱めて、カルシウムを外に出しやすくしちゃう。
そのせいで骨がもろくなって、背骨がつぶれたり、ちょっとした転倒でも骨折することがあるんだよ。
他にも、免疫力が下がったり精神的に不安定な状態なってしまうんだ。

1つのホルモンでも全身に影響があるんだね…。

だから、治療してホルモンが安定した後も血圧、血糖、骨の状態を定期的にチェックすることが大切なんだよ。
まとめ
今回はクッシング症候群について話をしてきたよ。
・クッシング症候群は、コルチゾールというホルモンが過剰に出ることで起こる病気
・原因は、下垂体や副腎、または他の腫瘍からのホルモン異常分泌など、いくつかのタイプに分かれる
・症状としては、中心性肥満や満月様顔貌、筋力低下、皮膚の変化、高血圧や糖尿病など
・検査では、ホルモンの量と出どころを調べて、正確な原因を見つける
・治療は基本的に腫瘍の手術が中心で、必要に応じて薬や放射線治療を行う
・治療後も血圧、血糖、骨の状態などを定期的にチェックして、再発や合併症に注意する
クッシング症候群は、見た目の変化だけじゃなく、体の中でいろんな不調を引き起こす病気なんだ。
たった1つのホルモンだけど、人間ってしっかりバランスをとっているおかげで生活できているんだ。
だからもし今回の話を読んで「あれっ…」と思ったら、しっかりと病院で診てもらってね。



コメント