
こんにちは!
臨床検査技師のぴぃすけだよ。
今日は心不全について解説していくね。
心不全って病名って思っている人も多いんだけど、実は病名じゃなくて、状態なんだ。
そういった内容も含めて今回は
- そもそも心不全とは?
- 心不全の原因
- 心不全の検査
- 治療方法
こういった感じで心不全について、しっかり理解できるようにまとめていくね!
心不全とは、どんな状態?
最初は心不全が、どういった状態なのか話していくね。

私は、心臓が止まる病気が心不全なのかと思ってた。

この勘違いって多いんだ。
心不全っていうのは、病名ではなくて、
心臓の力が弱くなって、全身に十分な血液を送れなくなった状態
心臓はポンプみたいな役割をしていて、血液を全身に送り出しているよね。
そのポンプの働きが落ちてしまうと、体のあちこちで困ったことが起きてくるんだよ。
体に血液がうまく届かなくなると、
- ちょっと動いただけで息切れしたり
- すぐに疲れてしまったり
逆に、心臓に血液が戻りきらなくなると、
- 足がむくんだり
- 肺に水がたまって息苦しくなったり
こんな症状が出てくることがあるんだ。
つまり心不全って、「心臓がダメになる瞬間」の話じゃなくて、心臓の働きが追いつかなくなって、体に負担が出ている状態なんだ。
心不全は病名ではない
あとでも詳しく話していくけど、高血圧だったり、心筋梗塞だったり、心臓の弁の病気だったり…
こういった心臓の病気が原因で、最終的に「心臓の働きが弱ってしまった状態」をまとめて心不全って呼んでいるんだよ。

これって同じ心不全でも原因によって治療が違うってこと?

そうそう。だから「何が原因」で心不全になったかを確認するのが、とても大切なんだ。
心不全の原因
次は、どうして心不全になってしまうのかについて話していくよ。
心不全って、ある日いきなり突然なることは少ないんだ。
多くの場合は心臓に負担をかける病気や状態が長く続いた結果として起こるんだよ。
原因はいろいろあるんだけど、代表的なものとしてはこんな感じだね。
- 高血圧
- 心筋梗塞や狭心症
- 心臓の弁の病気
- 心筋症
- 不整脈
これらは全部、心臓の働きを弱らせてしまう原因になるんだ。
なぜ心不全になってしまう?

病気が原因ってことは分かったけど、どうして心不全になるの?

イメージとしては、頑張りすぎた結果として、機能が落ちてしまうという感じだね。
心臓は毎日休まずに、ずっと血液を送り続けているよね。
特に心臓の病気がない場合には、そこまで負担にならない。
でも例えば高血圧という場合で言うと…
これは、そもそもとして血管などに異常があって、血液を送り出すために強い力が必要になっている状態だよね。
これって心臓は「もっと頑張らなきゃ!」って無理をしている状態なんだ。
その状態が長く続くと、
- 心臓の筋肉が分厚くなったり
- 逆に広がって伸びきってしまったり
だんだんポンプとしての効率が悪くなってくるんだよ。
そうすると、さらに心臓に負担をかけるようになって、どんどん機能が落ちていってしまうってことだね。
他にも心筋梗塞みたいに心臓の筋肉そのものがダメージを受けてしまう病気なら…
ダメージを受けた部分を補うように残った部分が無理をして働くことになる。
だからやっぱり心不全につながりやすくなるんだ。

なるほどね…。それだけ負担がかかっているってことなんだね。
心不全の主な症状
そうしたら次は、心不全になるとどんな症状が出てくるのかをまとめていくよ。
心不全の症状って、人によって少しずつ違うんだけど、大きく分けると
- 血液が足りない症状
- 水がたまる症状
この2つが主な症状になるね。
血液が足りない状態
心臓から全身に送られる血液が足りなくなると、
- 少し動いただけで息切れする
- 前より疲れやすくなる
- だるくて動くのがしんどくなる
こんな感じの症状が出やすくなるんだ。
水がたまる症状
心臓に血液が戻りきらなくなると、体の中に水分がたまりやすくなる。

これっていわゆる浮腫みってやつ?

そうだね。健康な人でも立ちっぱなし1日いたりすると足がむくんだりするのと考え方は同じだよ。
心臓の機能が弱ることで、全身に送った血液を戻すことが出来なくなる。
そうすると
- 足や足首がむくむ
- 体重が急に増える
- 横になると息が苦しくなる
といった症状が出てくることがあるんだ。
特に心不全が進んでくると、夜、布団に入って横になったときに息苦しくなってしまう。
そこから上体を起こさないと楽にならない、なんてこともあるんだ。

加齢によるものかな?とか疲れているだけかな?とか思っちゃいそうだね…。

そこは本当に注意が必要だね。いつもとちょっと違うという場合には、やっぱり検査をして調べることが大切だよ。
検査の方法
次は、この心不全かどうかを調べる検査について話していくよ。
ただ実は心不全の検査って、「この検査だけで決まる」ってものはなくて、いくつかの検査を組み合わせて判断するのが基本なんだよ。
●血液検査
まずは、血液検査だね。

これは、健康診断でもやるね!

そうだね。でも実は、健康診断の項目ではやらないものが重要だったりするんだ。
一般的に行われている健康診断の血液検査の項目でも、心臓の状態を診る項目もあるんだ。
でも心不全の診断や重症度を確認するうえで、とても大事なのがBNPやNT-proBNPという項目なんだ。

この項目は聞いたことがないなぁ。
このBNPやNT-proBNPっていうのは、心臓に負担がかかったときに、心臓から出てくる物質なんだ。
だから心臓が
「これ以上はきついよ」
「血液が多すぎるよ」
って感じると、これらを血液中に放出するんだ。
この数値が高いと、
- 心臓に強い負担がかかっている
- 心不全の可能性が高い
そんな判断材料になるんだよ。
逆に言うと、息切れがあってもBNPやNT-proBNPが低ければ、心不全以外の原因を考えるヒントにもなるんだ。
もし息切れなんかが気になる人は、健康診断なんかのオプションで付けてみてね。
●レントゲン検査
あとは胸のレントゲン検査も心臓をみるために重要だよ。

レントゲン検査って肺を見る検査じゃないの?

もちろん肺も確認するよ。だけど一緒に心臓も映るから、心臓の大きさや肺に水が溜まっていないかを確認することができるんだ。
- 心臓が大きくなっていないか
- 肺に水がたまっていないか
こういった、心不全の症状で話した変化がないかを確認するよ。
●心電図
それから心電図では、
- 不整脈がないか
- 心臓にダメージを受けた跡がないか
をチェックするんだ。

原因を確認するってことだね。
●心エコー検査
そして、欠かせないのが心エコー検査。
これは超音波を使って、心臓のリアルタイムの動きを直接見る検査だよ。
心エコーでは、
- 心臓がどれくらいの力で動いているか
- 血液をしっかり送り出せているか
- 弁に異常がないか
こういったことを見ることで、心不全になっていないかや原因となる病気がないかを確認するんだ。

心臓1つでも、たくさんの検査があるんだね。

そうそう。でも実は、さらに詳しく原因を調べるためにカテーテルであったり、CT、運動負荷なんかも行うんだよ。
こういった検査を総合して、しっかり心臓の状態を確認していくんだ。
治療方法
最後は、心不全の治療についてまとめていくね。

これは心不全になった原因を治療するってことじゃないの?

正直ここは難しい部分なんだよね…。
確かに急性の心不全になる原因があって、それを治療することで心不全を防いだり治療するというのはあるよ。
ただなにかの原因で慢性的に心不全になってしまっているというのは、心臓への負荷がずっと大きくなってしまっている状態だよね。
この場合には「完全に元に戻す」というのは難しくて
今の状態を良くして、悪くならないように保つ
これが大きな目標になってくるんだ。
まず基本になるのが薬による治療だね。
心不全では、
- 体にたまった余分な水分を外に出す
- 心臓の負担を減らす
- 心臓の働きを助ける
こういった目的で、いくつかの薬を組み合わせて使うことが多いんだ。
たとえば、むくみや息苦しさが強いときは、体の水分を減らす薬を使って楽にしてあげる。
それと同時に、心臓が無理をしすぎないようにする薬や、長期的に心臓を守るための薬も使われるんだよ。

心不全って、怖いんだね…。

うん。だから健康診断やいつもの体の状態をチェックするのが、とても大切なんだ。
まとめ
今回は心不全についてまとめてきたよ。
・心不全は病名ではなく、心臓の働きが弱って全身に十分な血液を送れなくなった「状態」のこと
・心臓が止まる瞬間の話ではなく、心臓の働きが追いつかず体に負担が出ている状態を指す
・高血圧や心筋梗塞、弁の病気、不整脈などが原因となる
・頑張りすぎた結果として起こることが多い
・主な症状は、血液が足りないことによる息切れや疲れやすさ、水がたまることによるむくみや体重増加
・検査は血液検査、レントゲン、心電図、心エコーなどを組み合わせて総合的に判断する
・BNPやNT-proBNPは、心臓に負担がかかっているかを知る重要な血液検査の指標
こういった内容だったね。
心不全は、早く気づいて対処することが本当に大切だよ。
定期的な健康診断。
後はいつもと違う息切れやむくみを感じたら、一度しっかり検査を受けてみてね。



コメント