こんにちは！
臨床検査技師のぴぃすけだよ。
今回は『ピロリ菌』について解説をしていくよ。
ピロリ菌って聞いたことがあるかな？
実は世界的に見て、ピロリ菌の保有率は日本人って多いんだ。
じゃあそんなピロリ菌を持っているとどうなってしまうのか？
ピロリ菌について
- ピロリ菌とは何
- ピロリ菌を調べる検査
- ピロリ菌が引き起こす病気
- ピロリ菌の治療法
こんな感じで、この1記事でピロリ菌について、しっかり理解できるように解説をしていくね。
ピロリ菌とは何？
じゃあそもそもこの『ピロリ菌』がどういったものなのかを最初に話していくね。
お姉さんはピロリ菌って知ってる？
なんか胃に関係ある菌ってのは知ってる。
そうだね。
ピロリ菌っていうのは、胃の中にすみつく細菌のことだね。
正式には「ヘリコバクター・ピロリ」って呼ばれているんだ。
感染はほとんどが子どものころで、家族の食べ物の口移しなんかが原因だね。
昔は井戸水から感染することもあったんだ。
大人になってから新しく感染することはあまりないんだ。
感染してもすぐに症状が出るわけじゃなくて、ゆっくりと胃を刺激して、長い時間をかけて炎症を起こすっていうのが厄介なところなんだよ。
なぜピロリ菌は胃酸で死なないの？
でも胃の中って酸がすごく強いけど、菌とか生きられるの？
これがピロリ菌の厄介なところだね。
ピロリ菌が胃酸の中でも生きられる理由は、「ウレアーゼ」っていう酵素を持っているからなんだ。
この酵素が尿素を分解してアンモニアを作るんだけど、そのアンモニアが胃酸を中和して、自分の周りだけ酸が弱い場所を作ってしまうんだ。
ピロリ菌は胃の中に安全地帯をつくって、その中で生きているって感じなんだ。
だから他の菌は死んじゃうような環境でも、ピロリ菌だけは生き残れるんだ。
さらに、体の免疫から逃げるのも上手で、胃の粘膜のすき間に入り込んで守られながら暮らしているんだよ。
本当に厄介なやつだね。
そうなんだよね…。しかもそうやって子供の時に感染した菌が生き残って大人になってから活動することもあるんだ。
ピロリ菌を調べる検査
そうしたら次は、このピロリ菌を調べる検査について解説していくよ。
ピロリ菌がいるかどうかを調べる方法はいくつかあって、それぞれ特徴があるんだ。
●尿素呼気試験
まず有名なのが「尿素呼気試験」っていうものだよ。
これは袋に息を吹き込むだけでピロリ菌がいるかを調べらることができるんだ。
しかもとても精度が高いから、治療がうまくできたかの判定にもよく使われるんだよ。
●便中抗原検査
次に「便中抗原検査」っていう方法もあるよ。
これは便に含まれているピロリ菌の成分を調べることで、現在感染しているかを判断するのに使われたりするね。
●内視鏡による検査
あとは内視鏡検査のときに胃の粘膜を少し取って、「迅速ウレアーゼ試験」や組織検査をする方法もあるんだ。
これは直接胃の粘膜を調べるから、より詳しく状態が分かるんだ。
ただこれはピロリ菌のために行うというよりも、他の病気のチェックをしながら一緒にピロリ菌の検査も一緒にやるって感じだね。
ピロリ菌による病気
次は病気について話をしていくよ。
ピロリ菌に感染すると、まず起こりやすいのが「慢性胃炎」だね。
長い間胃の粘膜が炎症を受け続けると、だんだん胃の粘膜が薄くなって「萎縮性胃炎」って状態になることもあるんだ。
なんかその状態って危険そう…。
そうだね。実はこれが進むと胃がんのリスクが上がると言われているんだ。
それから「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」もピロリ菌が大きく関わっているんだ。
胃酸が粘膜を深く傷つけてしまって、痛みや出血の原因になるんだよ。
あと珍しいものだと「胃MALTリンパ腫」っていうリンパの腫瘍ができることもあるんだ。
これは除菌するだけで治るケースもあるから、ピロリ菌の治療がすごく大切だよ。
ピロリ菌の治療方法
そういえばさっきから除菌って言葉が出ているけど、それって何？
いいところに気づいたね！実はピロリ菌の治療方法になるんだよ。
最後にピロリ菌の治療方法について話をしていくね。
ピロリ菌の治療は「除菌療法」っていって、基本は3種類の薬を1週間飲む方法になるんだ。
内容としては、胃酸を弱める薬と、2種類の抗生剤の組み合わせなんだ。
胃酸を抑えることで抗生剤の効きがよくなって、ピロリ菌をしっかり倒せるようになるんだよ。
1次除菌っていう最初の治療でだいたい8～9割の人は成功すると言われているよ。
この1次除菌でうまくいかなかった場合は抗生剤を変えて「2次除菌」をするんだ。
2次までやればほとんどの人が除菌に成功するんだよ。
ただ、喫煙していると除菌の成功率が下がったり、薬を飲み忘れると効きが弱くなったりするから、治療中は気をつける必要があるんだ。
なぜ薬を1週間飲むの？
抗生物質って1週間なんて飲むことないけど、そんなに飲まないとダメなの？
そうだね。やっぱりこの期間もすごく大切だよ。
ピロリ菌は胃の粘膜の中に入り込んでいるから、短い期間では薬がしっかり届かないことがあるんだ。
だから1週間、決められた期間しっかり飲んで、胃酸を抑えつつ抗生剤を十分に効かせる必要があるんだ。
途中でやめたり飲み忘れが多いと、ピロリ菌が生き残って除菌に失敗することがあるんだよ。
あとは途中でやめてしまって菌が残っていたりすると、今度はその抗生物質に耐性を持った菌が出てきてしまうこともあるんだ。
これはピロリ菌に限ったことじゃないけど、抗生物質は処方された分をしっかり飲むことが大切だだよ。
まとめ
今回はピロリ菌について解説をしてきたよ。
・ピロリ菌は胃の中にすみつく細菌
・ウレアーゼという酵素で胃酸を中和して生き延びている
・検査方法には呼気試験、便中抗原検査、内視鏡検査などがある
・慢性胃炎、潰瘍、胃がん、MALTリンパ腫などさまざまな病気の原因になる
・治療は3種類の薬を1週間飲む除菌療法が基本
ピロリ菌についてわかってくれたかな？
実はピロリ菌って症状が出ていない場合でも、50代くらいの人だと60%くらいの人が菌を保有していると言われているんだ。
もし何かお腹に違和感を感じたら、一度病院で検査を受けてみてね。
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