
こんにちは!
臨床検査技師のぴぃすけだよ。
今日は小腸について解説をしていくよ。
小腸っていうと『栄養を吸収をする場所』ってイメージがあるかもしれないけど、実はそれだけじゃないんだ。
そんな小腸について
- 小腸の構造
- 小腸の働き
- 吸収の仕組み
- 検査方法
- 主な病気や異常
こういった内容を分かりやすく解説していくね。
小腸の構造
最初は小腸の構造から話をしていくね。
小腸は長い管みたいな臓器になるんだ。

ちなみにどのくらいの長さがあるか知ってる?

う~ん、長いっていうくらいだから3メートルくらい?
実は小腸は6メートル以上の長さがあるんだ。
形はさっき言ったように細い管みたいな形をしていて、胃から流れてきた食べ物の成分を細かく分解したり、体に必要な栄養を吸い取ったりする場所なんだ。
ちなみにそのあとに続くのが大腸だね。
大腸は小腸より太くて、ここでは水分をしっかり回収したり、便を固めていく役割をしているんだ。
ぐるっとお腹の中を囲むように存在していて、小腸よりは短いけど太さがあるのが特徴だよ。
大腸に比べて『細い』から『小』って言葉が使われているわけだね。
それでこの小腸の内側には、ひだ・絨毛(じゅうもう)・微絨毛っていう、小さな突起がたくさんついているんだ。

なんでそんな構造なの?

フローリングと毛があるカーペットだと、どっちの方が水を含みやすいかってことだね。
この『ひだ』があるおかげで吸収できる表面積がめちゃくちゃ広くなるんだ。
だから単純な管じゃなくて、吸収を効率的に行うために『ひだ』があるってことだね。
どんな働きがあるの?
少し働きについて上でも話したけど、次はより詳しく小腸の働きについて話をしていくよ。
小腸の仕事は、
「食べ物から栄養を取り出して、それを体の中に送ってあげること」
毎日動くための、『体のエネルギー工場』みたいな存在なんだ。
この流れとしては、
- 食べ物は胃でドロドロにされてから腸に流れてくる
- 腸ではそれをさらに細かく分解していく
こういった流れになるよ。
具体的には砂糖・脂肪・タンパク質・ビタミン・ミネラル、こういった栄養をちゃんと吸い取れる形にまでバラバラにしていくんだよ。
そして、分解した栄養を小腸でどんどん吸収して体に送り込むんだ。
ここで吸い取られた栄養が血液に乗って、全身の細胞のエネルギーになったり、筋肉や皮ふをつくる材料になったりするんだよ。
ちなみに栄養を吸収し終わった残りかすは大腸へ送られて便にまとめられるよ。
吸収する仕組み
じゃあそんな吸収のプロの小腸が、どうやって栄養を吸収しているかを解説していくね。
これは構造のところで話した、小腸の内側のひだがのおかげだね。
そのひだの表面に「絨毛(じゅうもう)」っていう、すごく小さな指みたいな突起がびっしり生えている。
さらに、その絨毛の1本1本の表面に「微絨毛(びじゅうもう)」っていう極小の突起が生えているんだ。
『突起の上にさらに突起』って感じで、表面積がとんでもなく広くなっているんだ。

これってどのくらいだと思う?

長さが6メートルで、さらにっていうとなんか凄そうなのは分かる。
この面積は「テニスコート1面分くらいの広さになる」って言われるくらいなんだ。
体の中のさらにお腹の一部分にテニスコートがあるって考えると、なんかすごいよね(笑
それで、この絨毛や微絨毛の中には、血管やリンパ管が通っていて、そこで栄養をキャッチする仕組みになっているよ。
- 糖質→血管へ吸収
- アミノ酸→血管へ吸収
- ビタミン・ミネラル→血管へ吸収
- 脂肪→リンパ管へ吸収
こんな感じで、体に必要なものが最適なルートで運ばれていくんだ。
食べ物から栄養を逃さずキャッチできるように、小腸はめちゃくちゃ細かく作り込まれているんだ。
部位別の担当
それで小腸ってここまではひとまとめに言ったけど、実は
- 十二指腸(じゅうにしちょう)
- 空腸(くうちょう)
- 回腸(かいちょう)
の3つに分かれていて、それぞれ役割がちょっとずつ違うんだよ。
●十二指腸(じゅうにしちょう)
ここは小腸のスタート地点みたいな場所だよ。
胃から来た食べ物は胃酸の影響で酸性でドロドロだから、まず膵液や胆汁を混ぜて中和したり、脂肪を溶けやすくしたりするんだよ。
ここから消化の本番が始まるんだ。
●空腸(くうちょう)
空腸は小腸の中でも、栄養の吸収がいちばん得意な場所なんだよ。
ひだや絨毛が特に発達していて、
- 糖質(ブドウ糖)
- アミノ酸
- ビタミン・ミネラル
こういうものを一気に吸収して、血液に乗せて全身に送るんだ。

役割から考えると小腸の主役みたいだね。

そうそう。そんな感じ!
●回腸(かいちょう)
回腸は小腸のラスト担当って感じだね。
空腸で吸収しきれなかったもののうち、特に
- ビタミンB12
- 胆汁酸(脂肪を消化するための液)
こういった成分を最後にしっかり回収してくれる場所なんだ。
さらにここには「パイエル板」っていう免疫のセンサーみたいな組織もあって、腸の中に入ってきた細菌やウイルスをチェックしてくれているんだよ。
小腸はこの3つが協力しながら、消化→吸収の流れをスムーズに進めているんだよ。
消化以外の働き
あと小腸って「栄養を吸収する場所」ってイメージが強いんだけど、それ以外にもめちゃくちゃ大事な仕事をしているんだよ。
●からだの指令を出すホルモン工場
小腸の細胞はね、食べ物が入ってきたタイミングでいろんなホルモンを出しているんだ。
たとえば…
- セクレチン:膵臓に「中和する液を出して〜」って合図を送る
- CCK(コレシストキニン):胆のうに「胆汁を出して!」って指示
- GLP-1:食べすぎを防ぐホルモンで、血糖値のコントロールにも関わる
つまり小腸は、消化液を調整したり、食欲をコントロールしたりする役割もあるんだよ。
●腸の免疫を守るガードマン
小腸の回腸には「パイエル板」っていう、免疫の見張り台みたいな組織があるんだ。
ここで腸の中に入ってきた細菌やウイルスをチェックして、体に害がないか見てくれているんだよ。
腸って食べ物といっしょに外からいろんなものが入ってくるから、免疫の働きがめちゃくちゃ大事なんだ。
小腸はただの消化器じゃなくて、免疫の最前線でもあるってことだね。
●体の水分バランスの調整
水分は大腸で吸収されるイメージがあるけど、小腸でもけっこう吸収されているんだよ。
特に、発熱や下痢で水分が失われている時なんかは小腸の吸収が重要になるんだ。
小腸を調べる検査
次は小腸を調べる検査について話をしていくね。
小腸って細長くて複雑な形をしているから、普通の胃カメラや大腸カメラでは全部を見るのがむずかしいんだよ。

他にどんな検査をしていると思う?

CTとかエコーとか?
CTとかは結構検査するイメージがあると思うんだ。
実はそれだけじゃなくて「こんな検査もあるんだ」ってものもあるから、解説していくね。
CT検査
まずはさっきお姉さんが言っていたCT検査だね。
CTはお腹を輪切りみたいに撮影して、小腸の形や腸が詰まっていないかを調べる検査だよ。
これは短時間で広い範囲を見られるから、腸閉塞(イレウス)や炎症、腫瘍なんかをざっくり確認したいときに使われることが多いよ。
MRI(エムアールアイ)
あとMRIなんかも使うね。
MRIは放射線を使わない画像検査で、小腸の炎症の広がりとか、腸の壁が厚くなっていないかを詳しく見るのが得意なんだよ。
特にクローン病みたいな炎症性の病気を疑うときによく使われるんだ。
カプセル内視鏡
これは飲み薬くらいの小さなカプセルの中にカメラが入っていて、それを飲むだけで小腸の中を全部撮影してくれる検査なんだ。
痛みもなくて、ふつうに生活しながらできるのが特徴だよ。
小さな出血やポリープ、炎症を見つけるのが得意なんだ。
ダブルバルーン内視鏡
さらにちょっと特殊な内視鏡としてダブルバルーン内視鏡があるよ。
これは小腸の奥まで入り込めるようにバルーン(風船)がついているんだよ。
この検査だと、小腸を直接見たり、組織をとったり、治療までできちゃうんだ。
カプセルで何か見つかったときの精密検査として使われることが多いかな。
超音波(エコー)
エコーでもお腹の表面から小腸の動きや腸壁の厚みをチェックできるよ。
ただ腸の場合には、ガスで見えづらいこともあるんだ。
だから腸を見るためにエコーを行うというよりも、お腹の臓器も見ながら腸も見るという感じだね。
血液検査・便検査
あと実は小腸の病気があると、貧血になったり、炎症の数値が上がったり、ビタミンB12が低くなったりすることがあるんだ。
便の検査では、腸の炎症の強さや、見えない出血をチェックできるよ。
これだけで病気を特定することは出来ないけど、こういった項目と他の検査を総合的に評価して病気の特定をしていくんだよ。
主な小腸の異常と病気

そういえば、小腸ってあまり病気の原因として聞かないけど、どうなの?

難しい部分ではあるけど、確かに免疫機能が強いから同じ腸の大腸に比べて病気になりにくいと言われることもあるね。
だけど病気がないわけじゃないから、最後は小腸の代表的な病気についてまとめていくね。
セリアック病
これは、小麦に含まれる「グルテン」って成分に体が強く反応しちゃう病気だよ。
そのせいで小腸の粘膜が傷ついて、栄養がうまく吸収できなくなることがあるんだ。
下痢、体重減少、貧血、疲れやすさ…
こういう症状がゆっくり続く時に疑われることがあるんだ。
クローン病
クローン病は、腸のあちこちに炎症ができる病気だね。
特に小腸のなかでも回腸にできやすいんだ。
症状はお腹の痛み、下痢、発熱、体重が減る、などいろいろあって、良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴なんだ。
炎症が強くなると、腸が狭くなったり、他の腸とつながる「瘻孔(ろうこう)」ができちゃうこともあるんだよ。
小腸の腸閉塞(イレウス)
これは小腸がどこかで詰まってしまう状態なんだよ。
お腹がパンパンに張ったり、強い痛みや吐き気が出たりして、緊急性が高いこともあるんだ。
原因として多いのは、手術後の癒着(くっつき)、腫瘍、炎症による狭さくなどがあるよ。
小腸出血(原因不明の貧血)
小腸のどこかでじわじわ出血していると、貧血が続いたりするんだよ。
胃カメラや大腸カメラでは見つからないとき、小腸が原因のことがあるんだ。
こういう時に役に立つのが、さっき話したカプセル内視鏡だね。
小腸腫瘍・小腸がん
大腸がんほど多くはないけど、見つかりにくい場所だから進行して見つかることもあるんだ。
お腹の痛み、貧血、体重減少、腸閉塞がきっかけで気づかれることが多いよ。
まとめ
今回は小腸について解説をしてきたよ。
・腸は小腸と大腸に分かれていて、小腸は栄養の吸収を担当している
・小腸の内側にはひだや絨毛があって、テニスコート並みの広さで栄養を吸収している
・十二指腸、空腸、回腸が協力して消化と吸収を進めている
・小腸はホルモンや免疫の働きもしている多機能な臓器
・CT、MRI、カプセル内視鏡などの検査がある
・慢性的な下痢やお腹の痛み、原因不明の貧血が続くときにも小腸の病気を考える必要がある
僕たちが効率的に栄養を吸収出来るのは、今回話したような小腸の仕組みのおかげだね。
大腸に比べると病気って少ないとは言われているけど、逆に小腸は検査で見えにくくて異常が見つかりにくいとも言われているんだ。
だからもし今回話したような「おかしいな…」ということがあれば、病院で相談してね。



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