
こんにちは!
臨床検査技師のぴぃすけだよ。
今日は『下垂体』という体の部分について話をしていくよ。
あまり聞いたことがない言葉だと思うけど、実はここってあるものを調整して僕たちの体をコントロールしている重要な場所なんだ。
そんな下垂体について
- 下垂体の構造と場所
- 下垂体の働き
- 視床下部との関係
- 下垂体の検査
- 主な異常と病気
こんな感じで、この1記事でしっかり下垂体について理解できるようにまとめていくね。
下垂体の構造
最初は下垂体の構造と場所について話していくね。
下垂体って、脳のちょうど真ん中あたり、トルコ鞍っていうくぼみに収まっている小さな部分なんだ。
重さはたった100mgくらいなんだけど、体のホルモンをコントロールするすごく大切な場所なんだ。

小さくても働きものなんだね!

そうそう!最後の異常のところでも話すけど、下垂体のバランスがおかしくなると体全体の調子が悪くなるんだ。
この下垂体は大きく「前葉」と「後葉」に分かれていて、それぞれ役割が違うんだ。
あと重要なところとしては、下垂体は視床下部っていう上の司令塔みたいな場所と茎(こう)でつながっていて、そこでホルモンの分泌が調整されているんだよ。
小さくてもほんとに精密な仕組みを持った器官なんだよ。
下垂体の働き
次は働きだね。
下垂体といったらこの仕事!
ホルモンバランスを整える
全身のホルモンバランスを整えて、体がちゃんと動けるように指令を出すことなんだ。
体の成長や代謝、ストレスへの反応、性ホルモンの調整まで、すごく広い範囲をコントロールしているんだよ。
特に前葉は「ホルモンの司令塔」みたいな働きをしていて、
- 甲状腺
- 副腎
- 性腺(卵巣や精巣)
に向けて「ちゃんと働いてね」って指示を送るホルモンを出しているんだ。
後葉は、体の水分量を調整するホルモンや、出産・授乳に関わるホルモンを放出するよ。
下垂体のホルモンについて
もうちょっとホルモンについて詳しく話していくね。
下垂体前葉から出ているホルモンは具体的に
- TSH(甲状腺刺激ホルモン)
- ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)
- GH(成長ホルモン)
- PRL(プロラクチン)
- FSH(卵胞刺激ホルモン)
- LH(黄体形成ホルモン)
みたいな、体の成長や代謝、性ホルモンに関わる大事なホルモンが出ているんだよ。

成長ホルモンってのはイメージつくけど、刺激って何?

その臓器にホルモンを出してくれっていう指令を出すって感じだね。

だから司令塔ってことなのね。
後葉からは、
- ADH(抗利尿ホルモン)
- オキシトシン
が放出されるんだよ。
ADHは腎臓で水を調節してくれるホルモン。
オキシトシンは出産のときの子宮の収縮や、赤ちゃんへの愛情形成に関わっているんだよ。
下垂体と視床下部の関係
それであと下垂体と密接に関係しているのが『視床下部』っていう部分だね。
これは下垂体のすぐ上にあるよ。

下垂体はホルモンの司令塔、視床下部は『体の状態を監視している司令官』みたいな存在なんだ。
体の状態を確認して、必要に応じてホルモンを出したり止めたりする指令を下垂体に送っているんだよ。

なんか、この2つの役割ってすごいね…

そうなんだ。どちらも小さい部分だけど、体にとってなくてはならない部分なんだよ。
●例:ストレスがかかった時
視床下部が下垂体へACTHを出すように命令して、副腎からコルチゾールが分泌されるように促すんだ。
こうやって視床下部と下垂体はいつも連携して、体がうまく保てるようにしてくれているんだよ。
下垂体を調べる検査
下垂体の働きは分かってくれたかな。
そうしたら、この下垂体の状態を調べる検査について話をしていくよ。
まず下垂体の状態を調べるときは、血液検査でホルモンの量をチェックすることが多いんだ。
TSHやACTH、成長ホルモン、プロラクチンみたいな下垂体ホルモン。
さらに下垂体が指令を出している先の臓器のホルモンも一緒に見ることで、どこの働きが正常か異常かが分かるんだよ。

あっ、これって下垂体の刺激が出ているのに臓器のホルモンが出てなければ、その臓器の異常が分かりそう!

鋭いね!刺激が出ていないのか、刺激が出ているけど臓器のホルモンが出ていないのかで治療方針が変わるから重要なところだね。
あとMRI検査も行ったりするよ。
下垂体はすごく小さいから、細かいところまで映せる造影MRIで腫瘍とか形の異常を確認するんだよ。
そうすることで、数ミリくらいの小さな腺腫も見つけられるんだよ。
あと、ホルモンが刺激にちゃんと反応するかを調べる負荷試験っていうのもあるんだよ。
例えば、
- TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)負荷でTSHの反応を見る
- CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)負荷でACTHがきちんと出るか確認する
こういう検査で下垂体が正しく働いているかを細かく調べることができるんだよ。
主な下垂体の異常と病気
最後は下垂体の異常について話をしていくね。
よくある問題が「下垂体腺腫」っていう腫瘍なんだ。
これは、ほとんどが良性なんだけど、大きくなると視神経を圧迫して視野が欠けちゃったりすることがあるんだ。
ホルモンを出しすぎるタイプもあって、プロラクチンが多くなると月経不順になったり、成長ホルモンが多くなると先端巨大症になることもあるんだ。

ホルモンって体の状態を保つのに本当に重要なんだね…。

そうなんだよね。だからバランスが崩れると異常が出てしまうんだ。
逆に、下垂体がうまくホルモンを出せなくなる「下垂体機能低下症」っていう状態もあるんだ。
これが起きると倦怠感、低血圧、低血糖、性ホルモン低下みたいに全身の調子が悪くなるんだよ。
後葉のホルモンが不足すると「尿崩症」っていう病気が起きて、1日に何リットルも尿が出ちゃうんだよ。
のどがめちゃくちゃ渇くのが特徴なんだよ。
こんなふうに、下垂体は小さいけれどトラブルが起きると全身に影響しやすい場所なんだよ。
まとめ
今回は下垂体についてまとめてきたよ。
・下垂体は脳の中央にある小さなホルモンの司令塔
・前葉と後葉に分かれていて、それぞれ別のホルモンを担当している
・視床下部と連携して全身のホルモンバランスを調整している
・血液検査、MRI、負荷試験で下垂体の働きを詳しく調べることが出来る
・腺腫や機能低下症、尿崩症など下垂体の病気は全身に影響を与えることがある
下垂体ってあまり聞く名前じゃないけど、僕たちの生活とは密接に関わっている場所だったね。
「ホルモンが乱れると体調が悪くなる」って知っている人が多いと思うけど、それを維持してくれているのが下垂体。
そんな下垂体についての話でした。



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